雑記

「労働者M」

作・演出ケラリーノ・サンドロヴィッチ

観てきた。XC列だから3列目と思ってたら、最前列だった。びっくりした。
散々に貶されている観想をちらほらと目にしていたのだけれど、かなりおもしろかった。
初日近くにコクーンシートで観て、二度目の観劇だった。
近未来と現代を交互に、あるいは同時に描いているのだけれど、二つの世界は最後までかみ合わない。
そこが多くの観客にとっては不満だったのだろう。
でもやり方としてはすこぶるおもしろい。
映画ではないから、役者が立つところは一つの舞台しかない。盆は回るけど。
だから全く無関係に近未来の登場人物と現代の登場人物が舞台上に存在してしまう。
もちろん絡みはない。いないものと思って、役者は芝居を続ける。
でも観客には見えている。前説で言っていた「うどん、そば、うどん、そば、そどん、うば、休憩、うどん、うば、そどん、そどん、うば、カーテンコール」とかいうのが露骨に提示される。
例えば、シベリア少女鉄道も舞台上を混沌とさせるときがあるけれど、そのやり方とはまた違うコラージュ。
観ていて、脳内麻薬の分泌量が増えた気がした。
しかしながら、ここ数作のケラ芝居と比較してどうかというと、そんなでもない。(笑)
「ハルディン・ホテル」、「男性の好きなスポーツ」、「消失」、「トーキョーあたり」。
ここら辺は個人的に大傑作。
でも「カメレオンズ・リップ」、「砂の上の植物群」、「労働者M」はおもしろいけれど、大傑作とまではいかない。
うーん、見事に外部の公演ばっかりだ。(笑)
上記の中では、「男性の好きなスポーツ」が一番好み。客演陣もよかったし。

気になるのは、これからのケラ。
今年は、新作はこの「労働者M」だけで、ナイロン100℃の本公演二本はどっちも再演。
外部の仕事は演出のみ。
次の新作がナイロン100℃になるのか外部公演になるのかはわからないけれど、どういう形になるのかが凄い気になる。
何がともあれ、次の「カラフルメリィにオハヨ」を楽しみにしていよう。
好きな戯曲なのだ。