四谷怪談

現在上演中のコクーン歌舞伎東海道四谷怪談」の南番と北番両方観て思った。
1月くらいに放送していたアニメ「東海道四谷怪談」のスタッフは一度観るがいいよ。
鶴屋南北の人となりもしっかり調べないで作っちゃったものね。
筋立てと一般的な伝承だけで繋いだ印象があって、どうにもぼくは楽しめなかったのだった。
ひとつの怪談としてやるのならいいのだけれど、作者の姿まで出して、ちょっとした多重構造になっていたからなあ。
しかも一応全段通しだったし。
今回、歌舞伎で上演されたのを観て、やはり南北は恐怖と笑いを表裏一体にして作っていたのだと確信した次第であります。
もちろんお岩様の髪梳きから死に至るまでの場面には笑いは不要だけれど。
アニメのつまらなさの大きな原因っていうのは、戸板返しとかまんまやっちゃってるっていうところなのだろう。
あれは舞台で早替りがあるからおもしろいのであって、アニメでやられたって驚かないものね。
提灯抜け、仏壇返しもそう。そのまんまやるのではなくて、アニメならアニメの手法を用いて驚かせる演出で勝負しないと。
それから伊藤喜兵衛の孫のお梅が浪宅に来る場面。あそこ基本的に南北得意のギャグのはずなんだよね。
「浮世柄比翼稲妻」や「盟三五大切」でも豪華絢爛な花魁連中が貧乏長屋に来る場面があるし。
南北はそういう対比が好きなんだろうけれど、スタッフはたぶん全然わかっていないはずだ。(笑)