芥川賞

 芥川賞候補作品が発表された。候補の五作は下記の通り。

  • 伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」(文學界六月号)
  • 鹿島田真希「ナンバーワン・コンストラクション」(新潮一月号)
  • 島本 理生 「大きな熊が来る前に、おやすみ。」(新潮一月号)
  • 中原 昌也 「点滅……」(新潮二月号)
  • 本谷有希子「生きてるだけで、愛。」(新潮六月号)

 どうだろうか。おれ予想では、まず島本理生本谷有希子が脱落する。両方とも題名だけで都知事の逆鱗に触れそうだし、内容もトラウマとメンヘルっていうベタさ。どうよ。山田詠美村上龍あたりにもはねつけられそうだ。本谷有希子は、出版社的には受賞させたいのだろうけれどなあ。この人は文学としてはおもしろくない。
 伊藤たかみ鹿島田真希中原昌也の争いになるんじゃないかと思うが、まず、大穴が中原昌也。この人ばっかりは、ふたを開けてみないと、どういう評価を受けるかわからない。ちなみに「点滅……」はおもしろかった。文學界と新潮に掌編に近い短編をいくつか掲載されていたけれど、それらよりもダンチでおもしろかった。
 鹿島田真希の「ナンバーワン・コンストラクション」は三島賞受賞作の「六〇〇〇度の愛」に比べると、いまひとつ物足りなかった。でもこの人が本命だと思う。芥川賞はその人のそれまでのキャリアの中で最良の作品が受賞するとは限らないからだ。「グランド・フィナーレ」とか「沖で待つ」とか。そろそろあげといたほうがよくね? という思惑が多々ある気がする。
 伊藤たかみが対抗馬。文學界から唯一のノミネートで三回連続。133回が文藝、134回が群像に掲載されたもので、そして今回はいよいよ芥川賞を主催する文藝春秋社の雑誌である文學界に掲載された一篇がノミネートされた。これが何を意味するのかっていのが気になるが、「八月の路上に捨てる」はいい小説だった。好きじゃないけど。題名もいいしなあ。ダブル受賞か?
 個人的には中原昌也に受賞してもらいたいのだけれど。「点滅……」はおもしろかったよ。


 直木賞はぼくの個人的な好き嫌いで、古処誠二だったらいいなと思っている。「接近」っていう小説が好きなのだ。「新潮」に掲載されたときに読んで、唸った。