バトルこんぺ

 No.12の「海の光」について。
 読み始めて思ったのは、これは「ららら科學の子」リスペクトなのかしらということだった。その感覚は読み進めるにつれて薄れていったが、冒頭から途中まではそんな感じだった。淡々とした文章はよかったのだけれど、話が進めば進むほど、ぼくにとってはおもしろくなくなっていった。
 七年間という時間が作る断絶をどう認識し、どう乗り越えるのかというのが大事なのではないのかと思ったのだった。この短篇は後半に戦闘の場面があって、そこに、主人公の過去も含めて、枚数を割いてしまっているため、描ききれていない。一番最後の部分の最初の段落、つまり「それから辻は」で始まる二文が枚数不足を象徴しているように感じられた。ここ省略しちゃダメだろって思った。
 しかしながら、「バトルこんぺ」という文脈を考えると、メインは戦いになるべきなのだから、配分としてはこれでいいのかもしれないとも思った。姉を奪還するということを書くために用意してみたサブストーリーの分量が、筆がのったからかどうかは知らぬが、ちょいと多くなってしまったんだろう。


 No.8の「眠りによって全てが。」は難しい。二度ほど読んだが、まだわかっていない。もう少し読んでみたい。「演劇」とか「ステージ」とか、そういう言葉が何度か出てきていて、あるいはメタ的な視線が介在しているのかもしれないと感じたりしているのだけれど、いかんともしがたいつかみどころのなさだ。それにしてもこの小説、もう少しだけでいいから、音を意識してほしかったな。文章が耳に入ってこない。