日本の戯曲
清水邦夫の戯曲集が何と文庫で出版された。こんな喜ばしいことはなく、さっそく買ってきたのだった。
清水邦夫〈1〉署名人/ぼくらは生れ変わった木の葉のように/楽屋 (ハヤカワ演劇文庫)
- 作者: 清水邦夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/11/22
- メディア: 文庫
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- 署名人
- ぼくらは生れ変わった木の葉のように
- 楽屋
今月三軒茶屋のシアタートラムで上演された現代能楽集の「鵺/NUE」で引用され、シアターコクーンでは蜷川幸雄演出で「タンゴ 冬の終わりに」が上演されている。そして来月に上演されるさいたまゴールドシアターの中間発表の演目に「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」が選ばれた。「鵺/NUE」を除いて、観に行けないのが残念なのだった。
清水邦夫の戯曲にある猥雑なエネルギーとロマンティックな詩情、暴力性というのは独特のもので、それが大好きなのだ。これを気に、いろいろな人に読まれてほしいなと思う。
ただ、「戯曲読むのはちょっと」と思う方もいるかもしれない。だがちょっと待って欲しい。以下の文章はこの本の帯に記載されたものだ。これに目を通せば、少しくらいは読みたい気持ちが起こるかもしれない。
反抗があり、諦念がある。希望があり、希望以前に絶望がある。出ていきたいのに、出ていけないのだ、と告げている。その告げかたが、まるごとエネルギーの乱射だった。言葉の、乱射だった
古川日出男(作家)
どうだ、少しは読みたくなっただろう。ぼくが古川日出男が書く台詞にかっこよさを感じるのは、どこかこの清水邦夫や唐十郎を思わせる、アングラの匂いをかいでいるからなのかもしれない。古川日出男による解説はなかなかおもしろかった。
ところで、清水邦夫の戯曲の場合、読むというか、声を発したくなるんだよね。野田秀樹とか唐十郎の戯曲を読んでいるときといっしょだ。こんなおれの中にも、アングラの血が少しだけ、ほんのちょびっとだけでも流れていてくれればいいなと思った。