2007年の映画(1)

 去年もいろいろ観ました。特集上映にも足を運ぶようになって、スクリーンで観た数は今までの人生でダントツに多かったと思われる。中学〜高校くらいが、見た本数では一番多いのかなあ。懐かしいVHS時代。

 5つ挙げるとすれば、この5作。「恋人たちの失われた革命」と「ゾディアック」についてはこのブログで褒めちぎりましたが、忙しかったり気力がなかったりで他3作についてはほとんど触れられなかった。もっとも、「グミチョコ」は先月後半の公開だったから、あんまりあれですけど。以下、ネタバレ含。
 「インランド・エンパイア」はとにかく「映画史を塗り替える3時間の陶酔」というコピーがあながち嘘とも言い切れないくらいのもので、実に酔える映画でした。二回目に観に行ったときは頭の中で整理しながら見ようとしたものの、1時間過ぎたあたりから頭の働きがマヒしてしまって、もう映像に身を任せる他なくなってしまったのを今でも憶えています。あの感覚はなかなか味わえない。
 時間と空間が異なり、現実と虚構が入り乱れる怒涛の180分間の終わりに待っている祝祭のようなエンドロールが本当に心地良くて、脳みそを撫でられているようだった。ただ、たぶん映画館の暗がりの中でないと体感することへの集中力が続くないと思うので、機会があれば名画座でまた観たいところです。この映画、ほとんど自主制作状態だったというのもすごい話ですね。儲からなそうだし、金を出すところも少ないのはわかる(笑)。
 「Helpless」、「EUREKA」に続く北九州サーガの三作目である「サッド ヴァケイション」は、特に「Helpless」が好きなぼくにとっては待望の続編というか、またあの登場人物たちの世界を観られるうれしさがあって、観ている間たぶんニコニコしていたと思う(笑)。当然傑作と言わざるをえない。そんな明るい映画でもないんですけど、手つきが軽くなったというか、肩の力が抜けた感じがあった。母性が描かれているからかもしれないのだけれど、優しい映画だなという印象を受けた。そして「EUREKA」と同じく、再生の劇でもあった。「EUREKA」は個人の再生だったけれど、「サッド ヴァケイション」は家族の再生を描いているように思えた。安っぽい言い方ではあるけれど。豪華な出演俳優たちの演技も素晴らしく、あいかわらず音楽も良かった。
 「グミ・チョコレート・パイン」はもう、ぼくはオーケンの原作信者ですからね。脚本・監督がケラで、脚本にする段階でかなり書き替えているわけですが、さすがはケラ、原作のエッセンス、空気感はちゃんと残っていて、これも傑作と言わざるをえない。ケラの脚本なので笑いの要素がかなり入っているし、出演している小劇場でおなじみの方々の芝居もあって、かなり笑えるものとなっている。その一方で青春時代の甘酸っぱさみたいなのもしっかりあって、原作は青春小説の傑作だと思うんですけど、映画は青春映画の傑作だった。チ、ヨ、コ、レ、イ、トの名場面はぐっときたぜ……。
 

 他にも日本映画では塚本晋也監督の「悪夢探偵」や黒沢清監督の「叫」足立正生監督の「幽閉者」、洋画では「パンズ・ラビリンス」、「バベル」などが印象に残っています。あと、「逃亡くそたわけ」と「ROBO☆ROCK」という日本の美波映画は美波ちゃんが出演している時点ですでに傑作。
 ワーストは「ブリッジ」だな(笑)。


 今年も映画は積極的に観に行こうと思っています。観た映画の題名だけでもメモ的にこのブログに書き残そうかなとも考えている。とりあえず、年明け以降にスクリーンで観た映画は以下の三本。全部シアターNで観た。

  • パルス
  • 地球外生命体捕獲
  • スリザー

 なんだか残念なホラー映画ばっかりですが、B級映画を愛するぼくにとってはそれぞれ満ち足りた90分くらいでした。