2007年の演劇

 2007年はさほど芝居は観ていない気がする。というのもチケットを取るのを忘れていて、そのまま観に行かなかったというパターンがけっこう多かった。

 この4作が特に印象深かった。
 どれが1番とか決められない。どれも素晴らしい舞台だった。下の2つ、「ニュータウン入口」と「わが闇」は小説を書くにあたってかなり影響を受けそうな気配がある。特に「わが闇」における語り部の存在はすごいおもしろいなと思ったし、小説へどうにか咀嚼できないかとかなり考えている。試しにちょっと書いてみようかな。
 「ニュータウン入口」は手法よりもむしろ、何が描かれようとしているのかという点がおもしろかった。ニュータウンが生まれ、そこから消えていってしまう/しまったものへのまなざしにぐっときました。静かな、いいお芝居でした。
 「THE BEE」と「エンジェルス・イン・アメリカ」は前にちょこっと書いたけれど、とにかく圧倒された感じがある。「ニュータウン入口」と「わが闇」は圧倒されるのではなく染み込んでくる感じだったんですけど、「THE BEE」と「エンジェルス・イン・アメリカ」はぶん殴られたような衝撃があった。特に「THE BEE」。鉛筆が折れるたびにぶるぶる震えたぜ……。
 「エンジェルス・イン・アメリカ」については『ブロードウェイを21世紀に導いた』というコピーがけっして大げさじゃないくらいのもので、とにかく圧倒的だった。戯曲の力といい出演俳優の渾身の芝居といい、素晴らしかったです。2部構成になっていて、合計で7時間くらいあるんですけど、時間を感じさせなかったものな。至福のゲイ・ファンタジアでした。
 第1部の「ミレニアム」は以前戯曲が出版されているんですが、第2部の「ペレストロイカ」は出版されていない。読めないのが残念なのでした。せめて上演台本を売らねえものかと思ってたんですが、なかったし……。1部と2部まとめて1冊にして出版してほしいんですけどね、文藝春秋さん。


 美波ちゃん主演の「エレンディラ」は前にも書きましたが、脚本がとにかくダメでいかんともしがたかった。この「エレンディラ」は会場の問題で一度延期になったことがあって、けっこう前から芝居でやるという話を知っていて、ぼくは非常に楽しみにしていました。と同時に「舞台化なんてできるのか?」という不安もあったんですが、エレンディラメイクの美波ちゃんのラテン美人っぷりを目にして、これはもう大丈夫だと、安心して観ることができるなと思っていたんだけどね……。どうにも脚本がね(笑)。失望した。美波ちゃんだけでなく、瑳川さんはさすがだったし、役者はよかったんですけど。脚本がな(笑)。
 今年の「かもめ」には超期待してるよ、美波ちゃん。今年のベスト舞台になるに違いないのだ。