先週観た映画

 二週連続で早稲田松竹で行われたヴェンダース監督作品特集は、ヴェンダース作品を観られたのはもちろん良かったんですが、先日シネマヴェーラで観た「太陽がいっぱい」とこの「アメリカの友人」という同じシリーズを原作とした、全く別の映画をほぼ続けて観られたのはおもしろい経験でした。
 最近、パトリシア・ハイスミスの原作小説を読んだんですが、ヴェンダースによる脚色は素晴らしいものだったのだなあと感じた。1から10まで忠実にやるのではなく、必要があればカットも書き換えもする。でも原作らしさは損なわれていない。ケラ演出の「どん底」もそうだったけど、元となるもののエッセンスを見極めていれば、良いものは作れるんですね。逆に本質を把握できないと、忠実にしようが何をしようがしょうもない出来になっちゃうんだろうな。
 そんなことはともかく、「アメリカの友人」はハイスミスによる小説もヴェンダースによる映画も傑作だ。犯罪小説、犯罪映画のおもしろさが実感できた。
 それにしても脇役として登場するアメリカの友人たちの存在感といったらないわ。愛だね。