アテネの万田邦敏特集

 11月5日、6日、7日とアテネフランセ文化センターで万田邦敏監督の特集上映があったので通ってました。映画の上映のほかにも蓮實重彦先生の講演が5日に、万田監督と黒沢清監督、そしてイメージフォーラムの編集者だった高崎俊夫さんのトークショーが7日にあって、両方とも参加してきた。7日のトークショーは立ち見が出るほどの混雑でした。その前の上映はそんなに混んでいなかったんだけども。
 講演もトークショーも楽しかったんですが、パロディアス・ユニティ時代の自主映画が観られたのがうれしかったです。去年の「殺しのはらわた」爆音レイト時のオールナイトイベントとか、機会がまったくないわけじゃないんだろうけど、商業映画と比べると少ないだろうし、こういう企画を逃す手はないと思っています。
 自主映画の中では「西風」と「四つ数えろ」、「逃走前夜」が特におもしろかった。
 そうそう、万田監督のこの批評集は会場で売られてまして、当然のように買いました。

再履修とっても恥ずかしゼミナール

再履修とっても恥ずかしゼミナール

 「西風」の拳銃を自販機で買うところの発想が素敵だなーと思った。銃弾は釣り銭受けから取り出してたのかな、ああいう発想ってほんとパクりたくなる(笑)。
 「四つ数えろ」には電話ボックスで襲われる場面があるんですが、その前後からの長回しが実にすばらしいなと思った。建物と電話ボックスがある公園の位置関係がいいのと、あと公園の入り口に短い階段があるのも良かったな。襲撃そのもののアクションもうまいよなあって思っちゃいました。しかしあのロケーションは良かったな。あれって立教大学の近くとか、誰かの家のそばとか、そういうことで見つけたものなのかしら。
 あと、この場面でかかることになるジローズの「戦争を知らない子供たち」の替え歌がおかしかった。『ワンカットが長いと許されないなら〜』が特におかしかったな。でも『僕らの名前を覚えてほしい/ヌーヴェルヴァーグを知らない子供たちさ〜』っていうところはユーモアとどこか切実さがある一方で、その後の、というか今の万田監督や黒沢監督を考えると、ちょっと誇らしげな歌詞かもしれないですね。だいじょうぶ、映画史はあなたたちをしっかり覚えてますよ!っていう。