コロラド・キッド/スティーヴン・キング

 現在、新潮文庫より出版されている最中の、スティーヴン・キングの「暗黒の塔」シリーズ。その1巻から3巻までの帯についている応募券をハガキに全部貼って出すと、抽選で10000名にキングの日本未発表作である「コロラド・キッド」があたるというキャンペーンがあった。
 それがあたった。
 先日新潮社から小包が来ていて、何事かと思ったが、中に「コロラド・キッド」が入っていた。新潮文庫の体裁で、ただカバーがないだけだった。真っ黒くてすこぶるかっこいい。
 それを読んでいて、先日読み終わったのだが、全編通しての洒脱なダイアローグで物語を浮かび上がらせる、ある意味キングらしい小品だった。事件は解決しないのだが、何だかとてもいい読後感で、いい小説を読んだなあという気分になった。スティーヴン・キングという小説家は本当にうまい。
 もったいないから普通に出版しちゃえよって思っちゃうんだけど、契約の都合上、これ単独での出版はできないらしい。キャンペーンなら可なので、今回のようなプレゼント企画になったようだ。
 本当にもったいない。じつにおもしろい小説だった。