ワールドカップ準決勝

 朝からいい試合だった。ドイツもイタリアもグッジョブ。結果的には2点差となったが、ほとんど互角だった。フリンクスの出場停止が苦しかったかな。ケールも悪くはなかったが、ピルロを自由にしすぎた。特に前半。
 そう、ピルロだ。この試合のMVPを選ぶとしたら、ピルロを選びたい。先制点のアシストも美しかったが、120分間生きたパスを出し続けた。もちろん多少疲れた時間帯もあったが、やはりピルロのパスはきれいだ。グアルディオラを思い起こさせる。キックフォームとボールの弾道の美しさ。昔は10番のポジションをやっていて、アンカーにコンバートされて、最高の舞台で最高のプレーをしている。昔からピルロを見ているひとりのファンとして、感慨深かった。*1
 もうひとつ、というか、120分間の戦いで一番印象に残った場面というのはピルロの散らしでもグロッソの先制点でも後半ロスタイムのデル・ピエロのゴールでもなく、その直前のプレーだった。DFラインよりも前に飛び出してボールを奪って、そのままオーバーラップを仕掛けようとしたカンナバーロだ。結局トッティにボールを預け、トッティがジラにくさびを入れて、猛ダッシュで走ってきたデル・ピエロに落として、デル・ピエロがシュート、追加点という結果になったが、あのカンナバーロのプレーには感動させられた。延長後半のロスタイム、一番疲れていて、でも得点直後で集中しなくちゃいけない時間帯のあのプレーはチームに前を向かせたはずだ。キャプテンらしいプレーで、ぶっちゃけ日本代表になかったものだな。(笑)
 さすがに疲れはあったし、ブッフォンのセーブに頼る場面もあったけれど、イタリアの守備は本当に素晴らしい。見ていて楽しいものな。今日は早く家に帰れたので、再放送の最後の方を見ていたのだけれど、やはり綺麗だ。基本*2を丁寧にこなすという明確な戦術の浸透の上に選手の個人能力がかぶさっているのだから。ご飯3杯くらいいけるよ。
 ドイツはどうか。ドイツも好みじゃないが、いいチームだった。負傷の影響か、バラックとクローゼに怖さがなく、切り札Ⅰのオドンコールが相変わらずだったのが辛い。ポドルスキにあげたクロスが唯一の見せ場で、まるで大人と子どもだった。ポドルスキはがんばった。120分走り続けて攻撃を支えていた。間違いなく、これからのドイツの中心になってくれるはずだ。こういう選手は心強い。
 途中出場のイアクィンタデル・ピエロジラルディーノが好プレーを見せたのに対し、オドンコールシュバインシュタイガー、ノイビルの3人が目立って活躍しなかったのが何よりも痛かった。イタリアの3人がこれ以上ないくらいのプレーぶりだったから、比較でそう見えてしまったのかもしれないのだけれど。
 しかし、本当にいい試合だった。録画しておけばよかったと思ったくらいだ。ぶっちゃけ後半の45分が停滞気味だったが、まあいいってことよ。ポルトガルvsフランスもこれくらいの好試合を期待している。


 そのポルトガルvsフランスだが、やはりジダンヴィエラマケレレの出来にかかっているのは当然だとして、もう一つ鍵を握るのはポルトガルの監督フェリポンの采配だ。というか、どういう戦い方で挑むのか、だ。
 ルーニーにしたような、相手を苛立たせるような戦い方はしないで欲しい、というかすると負けると思う。何でかっていうと、今のフランスは精神的に充実しているように見え、ちょっとやそっとの挑発は軽く受け流せるはずだからだ。そしてそういったプレーが全部自分たちに帰ってきて、自滅してしまうのではないか。そういう試合はつまらない。
 デコも戻ってくることだし、ポルトガルらしいサッカーを見たいね。しかし応援するのはジダンだ。イエローカードをもらってしまえば、この試合がジダンラストゲームになる。うわーどきどきだよ。どきどき。審判空気読めよ的なドキドキ。(笑)

*1:インテル時代の、シメオネに出したノールックセンタリング1本でファンになりました。猛然とオーバーラップしてくるシメオネにパスを出したのだが、一連の流れの中でシメオネの姿をはっきりと確認していたようには見えなかったからだ。

*2:例えばマーキング、カバーリング、スペースを埋める、ラインの上げ下げ、受け渡し、身体を寄せる、シュートコースを切る、二人以上で囲む、といったこと。