ワールドカップ

 ワールドカップゲルマン大会は今朝、イタリアの優勝で幕を閉じたのだった。
 イタリア贔屓としては、最後グロッソをリゴーレを決めるまで、どきどきしっぱなしで、あの状態がもう30分続いていたら倒れていたに違いないのだが、グロッソが決めたときは明け六つくらいだというのにウオオオオオオと叫んでしまった。
 思い返してみると、ワールドカップを見たのは94年の大会が初で、ぼくにとってはロベルト・バッジョフットボールそのものだった。当然のようにユベントスファンになった。バッジョが移籍するころにはユーベ自体が好きになっていたので、バッジョの移籍に伴いミランファンになる、ということはなく、ユベントスファンのままだった。デル・ピエロがいたからだ。ぼくは何気にかなりのデル・ピエロファンなのだ。当時のユーベの好きだった。ラバネッリ、ビアリ、トリチェッリ、ペルッツィフェラーラ、名前を挙げるときりがないのだが、みんな好きだった。あれだけ走って、誰が出ても遜色ないプレーをするチームは、今はないんじゃないかと思う。ニコラ・アモルーゾとかがブレイクしたのもこの頃だっただろうか。ボクシッチもいたな。
 ジダンがユーベにやってきたのはその後だったと思う。96年くらいだったんじゃないかと思っているが、とにかく、その頃のジダンはまだ髪があって、今よりも少し低い位置でプレーしていた。監督は現イタリア代表監督のマルチェロ・リッピだ。
 何を書いているんだかわからなくなってしまったが、とにかくイタリアサッカーが全てのきっかけだったように思えてならないのだ。ていうか、バッジョだ。もちろんJリーグは発足当時から見ているし、ぼくはFC東京のソシオだった。だったというのは、今年はちょっと金と暇がなくて更新できなかったからなのだけれど。しかし外国のサッカーを見るのは好きだし、今はイタリア、スペイン、アルゼンチンのリーグを中心に見ている。ワールドカップが終われば、コパ・リベルタドーレスが再開されるから、これからはそっちに集中するだろう。


 前置きが長くなったが、イタリアvsフランスだ。昨日確か、注目選手はジダンピルロだと書いたが、特に前者がだめな注目を浴びてしまった。残念だ。
 試合内容を見ると、前半はイタリアペース。後半途中からはイタリアの運動量が全体的に落ちたこともあり、フランスが攻め込んでいた。しかしここで守りきるのがイタリアの真骨頂。正直セミファイナルまでの戦いぶりと比べると、イタリアの守備の出来はよろしくなかった。後手に回るような場面が多かったし、個人能力の高さで守りきっているような印象があった。ドイツ戦のパーフェクトな守備とは違っていた。それでも守りきるのがイタリア。ディフェンスの執念を感じた。
 フランスは攻めが全体的に個人技頼りで、あうんの呼吸でパスをずばずば回すような場面は少なかった。とにかく球離れを早くしないとイタリア相手では分が悪いと思うのだが、どちらかというと個人技で勝負する場面が多かった。アンリとかな。ここはフランスが大会通じて、攻めのチームではなかったという面が露呈したところだったのかもしれない。
 延長に入ってもその流れは変わらなかった。マルーダが目立っていたかな。でもこの人もオドンコールと一緒でラストパスの精度が低い。オドンコールよりは器用な選手だけれど。もう一声ってところか。オドンコールはもう二声三声必要だけれど。
 負傷してからのジダンは本当に動けなくなっていたが、この試合では、ジダンは絶対に代えられない。ドメネクも頭が痛いところだっただろう。グループリーグの1試合とかだったら、ドラソーとか投入していたはずだ。とにかくジダンは動いていなかった。
 そして頭突きだ。たしかユーベ時代のハンブルク戦だったと記憶しているが、相手選手の顔面に頭突きを食らわせて退場処分を受けたことがあった。その相手選手は顔を骨折したらしい。その試合は確かダービッツコバチェビッチも退場した試合だった気がする。ワイドショーなどで「信じられない」とか「どうしてジダンが」というコメントをしている人たちがいるが、彼らはもぐりだ。ジダンが頭突きとか張り手とかで一発レッドもらう選手だってことは有名だ。忘れてたけどな。調子よさそうだったし、最後だし。
 そう最後だ。ジダンのラストショウになるはずだったゲームはこれで壊れた。もう達観したように力を振り絞ったプレーを続けていたから、ぼくの頭の中からはプッツンするジダンは消えていた。だから余計にびっくりした。あれはないよ。マテは相当ひどいこと、たぶん人種差別か家族をからかうようなことを言ったのだろうが、それにしたって、あの頭突きはいけない。ヤナギのシュートミスよりもひどい。試合を壊したからな。
 そしてPK戦に入る。全員決めたイタリアとトレが失敗したフランスという形になったが、どうにもすっきりしなかった。やはりジダンラストゲームがこういう形になってしまったのが、心残りなのだ。マテラッツィは罪な男だ。

  • 怪しげな判定だったとはいえPKを謙譲
  • CKから同点ゴールをゲット
  • あわやオウンゴールという場面を演出
  • ジダンを退場に追い込む
  • PK戦では無難にゲット

 何このマテラッツィショー。
 冗談はさておき、PK戦で印象に残ったのは、カンナバーロだ。ピルロに抱き疲れていたカンナバーロ。味方が決めるたびに喜ぶチームメイトを尻目に、カンナはじっとゴールを見ていた。優勝が決まった瞬間、ようやく喜びを爆発させたが、そのじっと戦況を見つめているカンナバーロの眼差しはすこぶる印象深かった。キャプテンの姿だった。その姿を見ていて、負けてほしくないなと思った。
 そして優勝が決まり、カンナがジュール・リメ杯を掲げたとき、ジダンのことは残念だったが、なんだかんだで感極まってしまった。バッジョマルディーニバレージもいないが、今大会のイタリア代表のキーパーの控えはペルッツィ*1で、アシスタントコーチはフェラーラだった。

*1:あとアメリアもだけれど。