八月納涼歌舞伎/第一部

一、丸橋忠弥
二、近江のお兼
三、たのきゅう

 最初に書くのは、今月の狂言立ては結構好みだということだ。先月がガチ拷問だったので、どんな演目が並んでも「いいよいいよ」ということになるのだけれど、新作あり舞踊あり新歌舞伎あり黙阿弥あり通し狂言っぽいのもありと、バラエティに富んでいるが、このごちゃごちゃ具合が歌舞伎だぜ。予定を見ると、九月、十月は時代物中心になるようだ。それはそれで楽しみだが、まずは今月だ。

  • 丸橋忠弥

 橋之助が主役ということで、全然期待していなかったのだけれど、これが結構良かった。序盤、中盤とかなりかったるくて、ぶっちゃけ軽く寝ていたのも事実ながら、終盤の立ち回りがすごいことになっていた。「蘭平物狂」かと思った。怪我人出ないといいな。序幕の、橋之助の酔っ払い芝居はどうなんだろ。この人の「魚屋宗五郎」は観たくないな。(笑)

  • 近江のお兼

 昔、現勘三郎(当時勘九郎)が踊ったのを観たことがある。福助の方がニンなのだろうか。全体的にサラサラしていて、あまり残らなかった。

  • たのきゅう

 これはおもしろかったねえ。でも、外部の演出家とか作家が来ると、どうしてああ廻り舞台を多用しちゃうんだろう。この舞踊劇は変な装置組まないで、普通にやれば、これからのレパートリーになる気がするんだけど。芝居自体は、踊りも含めて、おもしろかった。かなりよかった。去年の「芋堀長者」でも思ったけれど、三津五郎の踊りはこういう軽妙で明るい演目が合うと思うんだな。
 ところで、染五郎演じる爺さん実はおろちが「萌え〜」って言いながら花束に抱きつくのはアリなのか、っていうか使い方合ってるのか。萌えに疎いおれにはてんでわからないぜ。