日本の小説

 買ったはいいが、ずっと手をつけていなかった、青木淳悟の「ふるさと以外のことは知らない」を読んだ。群像9月号掲載。電車の中で読んでいたのだけれど、あんまりおもしろいので、降りるのを忘れてしまった。こういうことって、よくありますよね。
 前作の「いい子は家で」も相当な異次元小説だったが、これはその斜め上をいくような小説だった。読んでいて、久々にぞくぞくした。さぞかしブログとかで話題になっているだろうとホクホクしながら検索していたのだけれど、1件くらいしかねーな。何でだろ。おもしろかったけどなあ。ある種SF的な印象すらあった。SFはほとんど読まないけれど、昔の筒井康隆は概ね読んでいるから、SF的な印象くらい感じたっていいはずだ。
 この人の小説は本当におもしろいとぼくは思うのだが、何故だか賞とは無縁なんだよなあ。三島由紀夫賞は去年落選、今年は候補外で、芥川賞は一度も候補にならないし、野間文芸新人賞を受賞しただけ。もちろん、それだってすごいことだが、芥川賞あたりをぱっと受賞して、話題になってもらいたいものだ。
 小説好きな人は読んでみるがいいよ。

四十日と四十夜のメルヘン

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