リチャード・ブローティガン

 「西瓜糖の日々」*1を読み終えたのだった。読み終えて思ったのは、スロウライダーの「Maggie」はこの空気感をほどよく表現できていたのだなあということだ。いい小説だった。この穏やかさはただごとではない。「穏やか」というのは比較的ポジティブな響きを持っている言葉だと思うのだけれど、この小説を表現する際に使う「穏やか」にはどことなく悲観的な意味が込められている。レディオヘッドの「KID A」がリリースされるときに、SNOOZERだかROCKIN' ONだかで「すべてが終わってしまった後のとても美しい風景」みたいなキャッチがあったように記憶しているのだが、この小説こそがその一文にふさわしいのではないか。とにかく異様で、いい小説だった。

*1:

西瓜糖の日々 (河出文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)