ブリッジ

ブリッジ The Bridge
http://the-bridge-movie.com/

 観てきたのだった。
 駄作にもほどがある。
 アメリカのゴールデンゲートブリッジから飛び降り、自殺をする人々を映した映像とその関係者、あるいは生き残ってしまった人々のインタビュー映像をコラージュした映画なわけですが、ひどい出来だった。監督のセンスが感じられない。
 飛び降りた人をアップで抜いてしまっている時点でもうモンド映画の一種と捉えられてもおかしくはないなとまず思うのだけれど、本当にひどい言い方になるけれど、その瞬間の絵が地味すぎたので、スピリチュアルなドキュメンタリーに作り変えたんじゃないかって思えてしまった。それくらいぼくには作り手の意図がわからなかった。アップで抜いたところは間違いなく見世物的な意味で、死の映像を撮ろうとしたんだろうなというのはわかるけど。違うかな。
 でも、あれですよ、自殺志願者がまさに飛び降りようとしているところに出くわして、自殺を止めないでシャッターを切り続けたという写真家のエピソードは良かった。観られるところはそこだけだったなあ。
 でもそれは自殺云々じゃなくて、例えば戦場写真を優先するのか人命の救出を優先するのかとか、そういう表現にかかわる部分だから興味深く思えたのだろうなと思う。じつに中二病っぽいな。
 ブットゲライトの「死の王」の1エピソードの方がソリッドでぼくは好きだ。ていうか、この映画のエンディングがいやだ。何あの歌。