決定的な17分間。

 DVD-BOX2*1の発売を記念して、渋谷ユーロスペース石井聰亙監督の全映画の特集上映が行われている。ぼくは石井聰亙監督の映画が本当に大好きなので、スクリーンで観られることをとてもうれしく思う。
 で実際に足を運んでいるわけですが、1月21日月曜日に「高校大パニック」を観た。フィルモグラフィー上、石井聰亙監督の第一作となる作品だ。去年、松井良彦監督の映画の公開にあわせて日本のインディーズ映画の特集上映がやはり渋谷のアップリンクで行われたときに「1/880000の孤独」とあわせて観ている。しかし、今回の特集上映で観たとき、心底圧倒される部分があったのだった。ユーロスペースというぼくが好きな映画館の場の力が働いたのかもしれない。
 「高校大パニック」はたった17分間の短い映画だ。でもその17分間に込められたものはとんでもなく力強いものだと、今回の上映で強く感じた。8ミリの、自主制作の映画であるけれど、ぼくの気持ちを揺さぶる何かは確実にあった。
 役者や衣装や、特殊メイクなんかも微妙な部分を挙げればきりがないのかもしれないが、この映画に込められた石井監督の思いはすこぶる強いものであると思った。よく第一作には作家性が色濃く現れるというけれど、この「高校大パニック」にはそれを強く感じた。音楽の入れ方、激情に支配された登場人物、疾走感。まさに石井聰亙の映画だった。特に初期の石井聰亙監督の映画のエッセンスが詰め込まれているな、と。だからとても好きだし、大事にしたい映画だと思った、自分の中で。
 何かを作ろうとするとき、どういう形であれ、強く気持ちを込めていかないと駄目なんですね。特に第一作には荒削りになってもいいからいいから持っているもんを全て叩きつけないといかんなと思った。ぼくは今新潮新人賞に出す予定の小説を書いているところですが、その気持ちを忘れずに書いていきたい。いきたい。

*1:

石井聰亙作品集 DVD-BOX II ~PSYCHEDELIC YEARS~

石井聰亙作品集 DVD-BOX II ~PSYCHEDELIC YEARS~