直木賞

 ぼくは「私の男」を読んでいないので桜庭一樹が受賞することに文句は言えないのだけれど、新聞に断片的に載っている評価を読んで首を傾げてしまうことがあったのだった。

細かい部分の整合性など、おかしいところをあげつらうといくらでもあった
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080121/acd0801210808001-n1.htm

 北方謙三さんがこう仰っているようですが、「半落ち」はおかしいところがあったからダメだったわけじゃないですか。「おかしいところ」というのが致命的なものでなくてもっと細かいものだったから、「私の男」はOKだったのかな。「半落ち」の場合は物語上、テーマ上の致命的な欠陥だと選考委員が判断したからダメだったみたいですけど。まあ誰がとは言わん(笑)。
 他にも「作家としての才能を豊穣に感じる」などと言っているみたいで、お前らそれじゃ何か、横山秀夫には作家としての才能を豊穣に感じなかったってことかと問い詰めたくなってしまうのです。授賞理由が曖昧に思える。
 「私の男」を読んでいないのでほとんど言いがかりになっちゃうんですけど、「私の男」が「半落ち」とか「生きてゐる小平次」とか「OUT」とか「火車」等などより優れた小説であるようには思えないんですよ。本当に読んでないからわからないんですけど。「赤朽葉家の伝説」を読む限り、この人はダメだっていうのがあって(笑)。あらすじからは桐野夏生さんの劣化コピー的な印象が感じる。
 やっぱ読まんといかんのかな。時間ねえけど。
 あと、

古処さんは「戦争と収容所にこだわりすぎ」、
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200801190108.html

 セイセイセイ、これはおかしいだろって思った。ケラに対して「笑いにこだわりすぎ」っていう批判をするようなものじゃないか。だって収容所はともかくも、戦争にはこだわって書いているんだから。