ラノベ

黒水村 (一迅社文庫)

黒水村 (一迅社文庫)

 読んでからけっこう経ってしまったが、感想なんぞを。

漆黒の森、底知れぬ闇をたたえた深い山。光なき、黒い影に囲まれた山村「庫宇治村」。
単位の足りない生徒のため組まれた課外学習の一環でこの村を訪れた、立花玲佳たち七人の生徒と引率の片平教諭は、 この地に隠された恐ろしい伝承と名状しがたきものの存在を目にする。 そして村に黒い雨が降るとき、耐え難き苦痛の記憶とともに死んだはずの者たちが目覚め……。

 この小説にはあんまりいい印象がないんですが、何が原因かというと始まってからもたつくからなんだろうなと思った。やはり到着するところから始めないと。そこでもたついているんだよなあ。例えばカール・ドライヤーの「吸血鬼」のようであればよかったなあと思った。
 その後も微妙な展開というか、B級にもならないゴアな感じで、あんまりおもしろいとは思えなかった。クトゥルフ神話に目配せをするのはいいが、後半はぬるい活劇に終始してしまっている気がしてなんとも。
 やはり、恐怖と怪奇と幻想というのは作る側が明確に把握できていないと優れたものは作れないんだよなあ。あとやはり人間描写だね。ジョルジョ・フェローニの「生血を吸う女」がどうして傑作と評されるのか。今まさに怪奇小説を書こうとしている俺はそこをしっかり考えていこうと思っている。