ラノベ

 最近読んだのは「狼と香辛料」の新しいものと「異界イニシエイション」。もう1冊何か読んだ気がしないでもないけれど、まったく思い出せないのでたぶん読んでいないのだろう。

under〈2〉異界イニシエイション (電撃文庫)

under〈2〉異界イニシエイション (電撃文庫)

 「狼と香辛料」は前々巻くらいから停滞してしまっているように思えます。ホロとロレンスがYOUたち!結婚しないなよ!的な状態になって、両人の関係性が動かなくなったからだと思う。子供が旅の仲間になったのはその危機感の表れだと思うんだけど(笑)。良くも悪くも安定してしまったのだろうなあ。
 となると今度は旅の中で事件を起こして、シナリオ的なおもしろさを出さないといかんと思うんですが、この作者は人と人とのやりとりはともかくも、アクションのおもしろさがないんだよなあ。まあ主人公が行商人だから、どうしても頭と言葉で勝負するのがメインになるのはしょうがないとは思いますが。ただそこが理路整然としているから、読み手を巻き込む前にかたがついてしまっていることが多いようにも思える。フリッツ・ラングみたいにできないものか。
 といいつつも、最大の問題は下巻の発売までに何ヶ月か経ってしまっていることだ。さっぱり忘れてしまっていた。上巻と下巻を間を置いて出版するのはやめてほしいな。待ちきれないのではなく、忘れてしまうから。


 一方の「異界イニシエイション」ですが、こっちはなかなかおもしろかった。あいかわらずバトル的な部分は何が何だかよくわからないところがあるが、ひとりの男の子の成長物語がかなりストレートに描かれていたと思う。そこはよかった。
 1巻と比べて、じっくり描いているなという印象があった。1巻はかなり早いテンポで進んでいった感じでしたが、2巻はそうではなかった。それはたぶん主題が挫折と再生になっているからなのだろう。ぼくはこれくらいの速度の方がしっくりくるので良かった。1巻はさすがにちょっときつかったからなあ。
 1巻→2巻の間がけっこう空いているのにもかかわらず、わりと普通に「あーこんなキャラいたなあ」と思えた。意外としっかり作ってあるんだよなー、一見粗いんだけど。ただ、美倉の喋り方はどうなんだ。「〜友達誘うからサ」、「〜ってことでネ」、「〜してる意味ないヨ」って、この語尾のカタカナ。君は森田童子か。
 あと、ディカプリオ版の「ロミジュリ」を昔の映画と言うせりふがあって、そのなんていうか、とてもジェネレーションギャップです。確かにクレアはかわいかったが、ジュリエットとくればオリビア・ハッセーだろ……常識的に考えて。