ラノベ

 Revinさんがオススメしていたので、読んでみた。なかなかおもしろかった。
 無難に青臭いというか、これはこれでジュブナイルとして良いのではないかと思う。設定そのものが何だか唐突な気がしますが、あーだこーだと説明しないところは好感が持てる。カナとリアっていうネーミングは寺山さんのアリスとテレスから来ているのだろうか。
 ただ読んでいて感じたのは、歌が歌詞として扱われているだけなのではないかということだった。小説における音響効果っていうのは要するにどうすればいいのかっていうことはよく考えるんですけど、実際に曲を流せないという事実を乗り越えることはできないんじゃないのかと思ってしまう。この小説を読んでいるときもやっぱそうなのかなと途方にくれてしまうときがあった。
 例えば「冷たい水」がそうだし、あるいは青山真治監督の「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」もそうですけど、映像と音響の触れ合いはときに爆発的な効果を生みますけど、実際に音を出すことができない以上、小説ではできないのだろうか。音響小説ってあるのかな。逆にできたらすげーよなって思うんですけど。楽譜が描かれているとか、そういうのはなしで(笑)。
 話がそれましたが、このラノベはおもしろかったと思います。アクションとしては今ふたつくらいですが、青春ラノベとしてはけっこう高水準なのではないかというところです。
 あ、でも、修学旅行のところはダメ。ホラーが意識されていると思うんですが、怖くなかった。いつ人が消えるのかっていうところをわざとらしく隠しているのと、あっさり説明が入るのが良くない。やっぱり、人が消えたという事実と共に、確かにいたという痕跡を描かないと怖くない。存在の名残りが漂っていて、初めてぞっとするのではないかと思う。


 あー、この文章を書いていて、地味に気になってきた。実際問題、音響小説ってあるんでしょうか(笑)。