爆音サーフ・フィルム・フェスティバル

 吉祥寺バウスシアターで10月4日から連日サーフ映画の爆音レイトショーがあったんですが、なかなか予定が合わず行けなかったのだった。どうにか「クリスタル・ボイジャー」だけは観ることができた。
 正直なところ、サーフ映画ってどうなの?って思ってたんですが、これが本当に素晴らしい映画で、もちろん爆音上映の効果というのもあったとは思うんですが、とにかく圧倒的だった。
 中盤までの青春映画のような作りが一転、スクリーン全体を埋めては消えていく波をピンク・フロイドの「エコーズ」が包み込んでいく。本当に美しい映像だった。キラキラと揺らめく水泡や光の粒、自然の色彩がとにかく美しく、でもときにどう猛さを見せたりして、心底感動した。本物のサーファーに見えている光景っていうのがこれなんだろうなあ。撮影、そしてこれを20分強に編集する作業はどれだけ大変だったんだろう。
 でもその大変さは確実に報われていると思う。この約80分の映画は間違いなく傑作だ。生き辛さからの解放を願って自作のヨットで海へ出て行く主人公の姿は紛れもなく青春映画の主役そのものだったし、「ヨットだったら、風が吹けばどこへでも行ける」というナレーションはまるでロードムービーのようでもあった*1。そんな主人公が実際に自分で作ったヨットで海へと出るシーン、音楽を入れるタイミングもあいまって、この映画の最初のクライマックスだった。感動しました。
 それからサーフ仲間たちと自由に波に乗る水上生活のシーンが続く。ここは主人公たちが本当に活き活きとしていて、その輝かしさにうっとりとしてしまった。そして映画はクライマックスのピンク・フロイドがかかる20数分へ突入していく。
 素晴らしい80分でした。爆音上映もすさまじいことになっていて、音圧で椅子に縛られているようだった。本当に得難い映像体験でした

*1:記憶に頼って書いているので正確なせりふではないけれど、このようなことを言っていた。