ラノベ

 電撃大賞銀賞受賞の「東京ヴァンパイア・ファイナンス」を読んだ。ホラー大賞受賞作家の小説ということで、少しは楽しみにしていたのだった。一方でホラー大賞の受賞作があれだったから、大したことないかもとも思っていた。
 読もうと思った一番の理由はヴァンパイアの文字が題名にあったからでもあるんですけど。

 だが、これがおもしろくなかった。出だしのテンポが悪いのと、あとやりたいことはわかるのだけれど、時間と空間と人をうまく処理しきれていないように感じられた。要するにわかりにくい。金を借りた登場人物たちのエピソードを一気にまとめた終盤の展開が自然な流れというよりも、それをやりたいがために無理矢理構成した要に感じられて、おもしろいとは思えなかった。
 結果的に一気に話が進んでしまうのと、はなっからそうなるように力技で仕組んでいるのとでは大きく違うと思う。前者の方が巧妙さが求められるかな。後者でもそれに乗れるといいのだけれど、この小説についてはぼくはちょっと置き去りにされてしまった感じです。
 もうちょっとジャンル性の強いものになっているかと思っていたんですが、拍子抜けしました。ノワールではないし、ヴァンパイアと題名に入っていますがホラーじゃない。何だかよくわからない小説でした。
 幻滅だったのは、金貸し=高利を貪る吸血鬼、みたいなことが書かれていたこと。それだけはやってくれるなと思ってた。ベタすぎだろう。