ミステリ?

 柴田よしきの「激流」を読んだのだった。

激流〈上〉 (徳間文庫)

激流〈上〉 (徳間文庫)

激流〈下〉 (徳間文庫)

激流〈下〉 (徳間文庫)

 本屋をぶらついているときに平積みされていて、あらすじが好みっぽかったので読んでみた。おもしろかったことはおもしろかったんですけど、真相が明らかになるにつれてどんどん話のスケールが小さくなっていくのはどうかと思った(笑)。
 上下巻引っ張っておいて、これが真相なのかよ……っていう(笑)。
 でも主人公たちのくたびれた雰囲気は嫌いじゃない。挫折とか諦めを抱えた人物たちが事件をきっかけに活き活きとし始める、そう描写されるところね。まったく報われない登場人物もいますけど、基本的には人生が肯定的に描かれていて、そういうのは好感が持てる。
 デカと歌手兼作家(兼女優)の遠くなく、密接でもないような関係が良かったと思った。途中からはかなり近い位置で寄り添ってしまっているけれど、それがさらにひっくり返るエピローグが良いです。この二人の関係は好きだったなあ。
 人間同士の関係がどう変化していくか、というところの方がミステリ的部分よりもおもしろく読めた気がする。それで良いのか悪いのかよくわからないけれど。