たまには感想でも。
なんだかんだいろいろ読んでます。しかしなんか最近は、書こうとしている小説のための資料を読むことを優先して、純粋に読書を楽しんだということがあまりない気がします。どうなんだろう、そういうの。
でもこの本は実におもしろかったのだった。
- 作者: 大杉栄,飛鳥井雅道
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1971/01/16
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
実際僕は父に似ているのか、母に似ているのか、よく知らない。もっとも顔はたしかに母によく似ていたらしい。
「そんなによく似ているんですかね。でも私、こんないやな鼻じゃないわ。」
母はよく僕の鼻をつねっては、人にこういっていた。
母はきれいだった。鼻も、僕のように曲った低いのではなく、まっすぐに筋の通った、高い、いい鼻だった。
――大杉栄『自叙伝』
上に抜き出したのは11ページ(実質3ページめ)にある文章なんですが、うーん、いいよね(笑)。こういうまっすぐな文章で半生が綴られるんですが、文章だけでなく実際のエピソードもおもしろくて、ぐいぐい読まされてしまった。あんまりおもしろかったんで、あわせて収録されている「日本脱出記」はまだ読んでないくらい(笑)。
吉田喜重監督の「エロス+虐殺」を観る前に予習として、名前と虐殺のことくらいしか知らなかったものだから、大杉栄と伊藤野枝に関する知識を少しばかり仕入れておこうかと思ったのが読んだきっかけなんですけど、読んでよかったなあと思った。