2006-05-22 三島由紀夫賞 小説 三島由紀夫賞の、過去の落選作から二つピックアップしてみる。 宮沢章夫 「サーチエンジン・システムクラッシュ」*1 劇作家・宮沢章夫の中篇小説。芥川賞候補にもなったんじゃなかったかな。このリアリティは何だ! と最初に読んだとき感じた。手つきというか目線というか、執拗なんだよなあ。物語的なものは何もないといってもいいのかもしれない。ゆったりと視界が崩れる、それが心地良かった。ただ、「ユーモア不条理小説」ではないと思うけれど。 舞城王太郎「熊の場所」*2 表題作は三島由紀夫賞落選作。しかしなかなかおもしろい小説ではある。やっぱこの人の問題点は主題の露骨さなんだろうけど。ただ、これは短編集で、三本目の「ピコーン!」が傑作なのだった。青春小説の傑作だと思う。おもしろいのは、この「熊の場所」の選評だ。宮本輝はちゃんと評価したうえで、ダメだと言っている。宮本輝を「読めてない」とバカにする人がいるけれど、意外とそうでもないんだよね。 *1:サーチエンジン・システムクラッシュ (文春文庫)作者: 宮沢章夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (39件) を見る *2:熊の場所 (講談社文庫)作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/02/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 31回この商品を含むブログ (129件) を見る