「Deep Love」を読む。(第1回)

 オリコンが終わって、書くことが激減している。するとこの雑記すら何も書かなくなることは自明のぼくだから、意地でも何かを書こうと思った。
 そこで「Deep Love」だ。クソ小説として名高い「Deep Love」だ。立ち読みをして、「何だこれは」と買ってもいないのに投げ捨てようと思ったくらいの小説だが、これをあえてじっくりと読むことは何らかのトレーニングになるのではないのかと思った。
 ならないな。
 だが、もう買ってきてしまった。ブックオフで550円だった。100円じゃねーのかよ。ちなみに帯付きだ。帯なしは500円だった。50円くらいは出すよ。
 テキストとしては「リアル鬼ごっこ」とどっちにするかで迷った。評判を聞くところ、「リアル鬼ごっこ」は相当ハイレベルな文章らしいので、「Deep Love」にした。
 第1回の今日は目次から。
 さて、目次だ。以下のようになっている。全部引用してもしょうがないので、途中省略してある。

  • ayu's Love Story

第1章 出会い


第4章 過去

  • another Story

1 パオとアユ






8 アユの父親
9 悲しみの果て

  • あとがき

 「ayu's Love Story」が全四章で、160ページ以上ある。総ページ数は250ページ強だから、半分以上が「ayu's Love Story」であるといえる。章の数自体は後半の「another Story」が多いが、そのひとつひとつは短く、まだ読んでいないからなんともいえないが、断章形式になっているのではないか。
 前半に大きな物語を置き、後半はそれに関わる断章を配置する。そのような構造になっているのだろう。これは決してスマートな構成とはいえない。しかしながら、ぼくはまだ読んでいないのだから、全体の構造については、ただの想像でしかない。
 しかしながら、章立てを眺めていると、やはりスマートなやり方とはいえないのではないかという疑問を抱かざるをえない。やはり全四章の合間にエピソードを挿入した方が、ベタではあるが、よりすっきりとした構成になるのではないか。
 章の数と割かれているページ数からは、概ね上記のようなことが想像できる。ここからは各章に与えられた題名からある程度内容を想像しようと思うが、やはり一番気になったのは「another Story」の9だ。「悲しみの果て」。
 エレファントカシマシである。
 「悲しみの果て」という題名を見て、エレファントカシマシの名曲を連想しない者はいないはずだ。著者もまた、意識していただろう。するとこの小説の結末がおぼろげながら想像できるのだ。エレファントカシマシの「悲しみの果て」はどういう風に締めくくられたか。

悲しみの果ては素晴らしい日々を送っていこうぜ

 こんな前向きな歌詞だ。著者が小説の最終章にこの題名を与えた以上、やはりこの章も「悲しみの果て」に沿ったものでなっているのではないのだろうか。つまり、悲しい出来事が起こるが、その先に素晴らしい日々が待っている、そんな前向きな結末だ。
 帯には60万部売れたとある。60万部も売れる小説が悲観的で救いようのない終わり方をするだろうか。例えばエルネスト・サバトの「トンネル」が日本において60万部も売れるかどうかを考えれば、答えは明快だ。
 著者は「悲しみの果て」という題名を与えた最後の章にやはりポジティブさを与えたのだ。

悲しみの果ては素晴らしい日々を送っていこうぜ

 「悲しみの果て」はやはり名曲だ。
 なんか「Deep Love」とか、どうでもよくなってきた。