「エンジェルス・イン・アメリカ」

 先日、tptの「エンジェルス・イン・アメリカ」の第1部「ミレニアム」、第2部「ペレストロイカ」を観た。これは間違いないく世界の演劇史に残る傑作だと思うし、観ることができてこんなに幸福なことはなかった。至福の7時間だった。
 おおいに刺激を受けたし、この芝居を観たことで、すこし前に進めた気がしないでもない。登場人物すべてが、板の上にいることの必然性を持っているし、役者陣の好演もあって、血と肉を持った人間のドラマとして輝いていた。『奇跡の戯曲』は言い過ぎじゃない。
 ひとつ思ったのは、人の死を使ってドラマを作るのは二流の仕事だよなってこと。人間が七転八倒しながら生きようとするところにドラマが生まれるんだろう。それが人間らしさだし、何もしなくても勝手にリアリズムが生じる気がした。
 テレビドラマとして映像化されているようなので、そっちも観てみようと思った。何しろアル・パチーノだのメリル・ストリープだの、テレビ映画とは思えぬほどの豪華キャストなのである。
 第1部は翻訳が出版されているのだけれど、第2部は出版されていないのだった。残念だ。台本を読みたいと強く思った。