機械じかけの小児病棟

機械じかけの小児病棟
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 観たいなと思いつつも歌舞伎町の映画館であったために観そびれていた映画がDVDになっていたのに気づき、急ぎレンタルをした。
 これはホラー映画なのだけれど、不思議に後味がいいのはメルヘンの要素が加わっているからなのだと思った、ホラー映画で後味がいいというのが褒め言葉になるのかはともかく。
 全体としては、歴史のある病院を舞台としたゴシックホラーの趣がある。建物の雰囲気はすこぶるいい。オーソドックスな作りになっていて、安定した魅力がありますね。いろいろツッコミどころはあるのだけれど。
 オーソドックスであるが故に凡庸な出来とも言えます。雰囲気はあるのだけれど、決定打に欠ける。ただ、ホラーはまず基本を抑えないとアホ映画になるから、この丁寧な作りは評価されるべき。とにかく基本は抑えている。
 その凡庸さから開放される瞬間がこの映画にはある。ストーリー上にはバッドエンドでしかないのだけれど、一番最後のシークエンスがカタルシスをもたらしている。子供へ対する監督の優しい視線が見えるし、子供の純粋さを描いた場面といっても過言ではないと思う。
 ふと思い出したのはスチュアート・ゴードンの「ドールズ」という映画だった。これも純粋さがキーとなって展開するホラー映画で、やはりメルヘン的な要素が絡んでいた。「ドールズ」も後味のいい映画でしたね、ホラーのくせに。
 この映画には上のトピックで取り上げてみた「パンズ・ラビリンス」の主演の女の子が出演していて、非常に印象深かった。出番は本当に少ないのだけれど、一度観たら忘れられないような表情をしていた。ダコタ・ファニングジョデル・フェルランドに次ぐ要注目の子役だなと思った。