スワンズソング

 和製ホラーの「スワンズソング」をDVDで観た。
 TSUTAYAにおいてなくて、何軒か探しているうちにやっと見つけた映画だった。題名がいいんですよ、「スワンズソング」っていう。否応なしにマキャモンの「スワンソング」を思い浮かべてしまうような題名じゃないですか。「スワンソング」は何度も読み返した小説で大好きなんですけど、似た題名のこの映画もいいのではないかと思った。
 だが誤った判断だった。ダメだよこの映画は。悪質なダメさではなく、「ほんとしょうがねえなあ(ニヤニヤ)」みたいなダメさですけど(笑)。好きか嫌いかでいえば、どちらかといえば好きだけど、なかなか肯定するのがむつかしい映画。
 まずジャーロであるということ。マリオ・バーヴァやダリオ・アルジェントと同じく、連続殺人と不可思議な謎解きというのが根っこにあるように思えた。謎解きはアルジェントほど不可思議ではないにしろ、映像がひねくれているのでわかりづらい。アルジェントは殺しの映像が先にあって、それを繋いでストーリーを作るからわからなくなるんですけど、この映画は煙に巻くような感じだった。ぼくは親父バーヴァもアルジェントも好きなので、ジャーロは大して問題じゃない。バレエを出す時点で「サスペリア」へのオマージュがあるのだろうし。ああ、そういえば、殺人鬼の造形がクローネンバーグの「ブルード」に似てたね。好きなんだろうな、たぶん(笑)。
 問題は長回しが多いってところだと思います。アイドル主演のホラーで長回しを多用するという発想がすごいよ。ほんと、テンポの悪いホラーはきっついわ(笑)。ハネケみたいにえげつなくねちねちと撮るわけでもないし。いくつかの殺しの場面なんかもろにホラーの王道を行く演出で、そこはうまく作ってると感じたのだけれど。便所のところとかけっこうビビったよ。
 あと、長いですよ。2時間近くあるのだけれど、100分にまとめてほしいところです。間合いがゆったりしすぎている気がした。かといって、浮遊感があって現実性が薄くなっているなんてことはなく、ただ冗長なだけという感じでした。
 いろいろと残念ではあったけれど、観て損をするほどのものではなかったです。ホラー好きの贔屓がかなりありますけど。ただDVD版にどうして「少女惨殺」なんて題名がついたのかがわからない。確かに惨殺されるけれど、おばさんも惨殺されるしな。「スワンズソング」のままでいいじゃないかと思う。「バレエ→白鳥の湖→スワン」なんだろうね、たぶん。歌いはしないけれども。ああ、なんか、このDVDのジャケットはひどいね。これじゃあ「オールナイトロング」とかあっち系のゴアみたいなジャケじゃないか。この映画はたぶん売り方をかなり間違えていると思います。そう考えると、ちょっともったいないかもしれないですね。

少女惨殺 スワンズソング [DVD]

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