TIFF2009『REC2』

 東京国際映画祭に行っていた一週間でした。小説のことがなければもうちょっと行きたかったんですが、時間的にいっぱいいっぱいなので自重した。ラピュタ佐藤慶特集は11月に入ってからがんばる。って、ホラーフェスとか爆音『デスプルーフ』とか万田邦敏監督特集とか黒沢清監督連続講演などなど、11月の頭はすごいことになってるんだっけ。
 それはともかくとして、東京国際映画祭のことをちょこちょこっと書いておこうと思う。「REC2」。ちょっとした息抜き。ネタバレ満開です。
 これ、前作はけっこうしょうもない出来、でも嫌いじゃないっていう感じだったんですけど、今作もそんな感じだった。ジョージ・A・ロメロの「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」がPOVを最大限に活用した傑作で、演出のレベルの差を感じたんですが、今回2作目になってもその差は歴然としていたように思えます。
 ただトンデモなシナリオは前作を凌駕していると思います。けっこうおもしろかった(笑)。ゾンビかと思ってたら悪魔かよ!っていうね、そっち行っちゃうの?って思っちゃった。研究者っぽい人は実は神父っていうのもおかしかったな。しかも躊躇するSWATの人を尻目に、平然と子ども悪魔を撃ち殺しちゃうし。日本ならともかくも、カトリックの国でこれ大丈夫なのか?って不安になっちゃったよ。こういう神父観って、向こう的にはありなのかな。バチカンって言葉も、文字通りじゃなくて、ヘルシング的な意味合いで聞こえてしまったよ(笑)。
 悪魔がとりついた子どもだったか大人だったか忘れちゃったんですけど、天井を這う描写があって、実に「エクソシスト3」だった。悪魔のべしゃりといい、「エクソシスト」の影響はかなりあるんじゃないかなー。バスルームに追い詰められて、ってとこは「シャイニング」かしら。けっこういろんなものの影響を受けているように思えました。
 ただ映画としては微妙なところです。トンデモなところはめちゃくちゃでいいんだけど、そういうのって結局ダメ映画的な意味合いでしか楽しみだから、評価としては凡作なんじゃないかなと思う。
 何がダメかっていうと、悪魔つきなんだけどめんどくさいのでゾンビって書いちゃいますが、ゾンビが襲ってくるアクションにあんまり工夫がないんですよね。ただドタドタと走ってくるだけ。同じドタドタでも、クリストファー・リーのドラキュラがバタバタっと走って出てくるところに宿る活劇性はないし、見苦しく思える。
 この見苦しさというか、だめーな感じはどこかで見たことあるぞと思ってたんですが、ランベルト・バーヴァの「デモンズ」。あと「デモンズ2」。アクション演出のワンパターンさとかヘボさが似てるように思えた。微妙な速さの走りで迫ってくるところも似てるかも。あ、ぼくはデモンズシリーズけっこう好きですよ。
 もう一つつまらなくしているところがあって、ティーンエイジャーの少年少女が出てくるんですけど、そこで極端につまらなくなっちゃってた。場面自体が切り替わって緊張が削がれるのと、ストーリーがそこで一度滞るんだよね。あんまり良くないと思う。時系列が前に戻ることになるんだけど、さほど効果的でもなかったし。かといって同時進行で進めるとわかりづらくなるだろうし、扱いの難しいところではありますが。あ、でも、彼らの登場は必要だったのかな。時間を埋めるために出しただけっぽく感じたんですが、俺だけかしら。
 前作の登場人物が終盤に登場するので、前作を見ていた方がキター!感を味わえると思います。それにしても最後に出てきたナマコみたいなやつ、あれが悪魔なの?