ペンギン・サマー

ペンギン・サマー (一迅社文庫)

ペンギン・サマー (一迅社文庫)

 渋谷を探しても全然売ってなかったんですが、地元の本屋で普通に売られてた。まあ、そういうこともあるだろう。以下、ネタバレで。
 これ、おもしろくなかった。というか好きになれなかった。仕掛けがあるのはけっこうだし、奇抜さと間抜けさを合わせてくるのもいいんだけども、納得できないところが一箇所だけあった。それはヒロインが総白髪になることで、それ自体は仕方ないところなんだけれど、総白髪へのリアクションがほぼ描かれていないことが納得できなかったのでした。
 髪は女の命というし、このくらいの年齢の女子だったら、自分の髪が白髪になったらかなりのショックを受けるのではないかと思うんですけど、残念なことにこの小説では終盤に仕掛けの種明かしみたいなところでぽんと出てくるだけで、なんていうか、あんまり人の気持ちを考えてないのかなと思ってしまった。心の機敏みたいなのがさらっと出てくるといいんだけどね。さらにそれを内面の描写ではなくアクションでやってもらうと俺が喜ぶ。
 全体の流れがあまり滑らかでなかったのもよくないと思った。それはけっして時系列を前後させているからではなくて、仕掛けを前提として作っているからだと思う。あと、早く仕掛けたくてうずうずしてる感じが伝わってくる感じがいやだった(笑)。先を急いでしまっているというかね。もっと落ち着きというか、やっぱり人間描写かね、そういうの大事だと思う。